【初心者向け】クロヤマアリ飼育法まとめ【ハヤシクロヤマも】

ヤマアリ属Formica

クロヤマアリは個人的に日常で最も目にする機会が多いアリです。

そして私が初めて飼育したアリでもあります。

忘れもしない2018年6月。クレイジージャーニーアリ回が放送されて大変な感銘を受けた私は次の日に公園に女王アリを探しに行き、そこで捕まえたのがクロヤマアリの女王でした。その後は慣れない手つきで石膏巣を自作し・・・というのは置いておきましょう笑

さて、このアリは広く色々なところに生息しているだけあって、とても丈夫で飼育のしやすいアリです。初心者の方にもオススメできますので気になった方はこの記事を読んでいただけると、参考になるかなと思います!

基本情報

分類

クロヤマアリFormica japonicaはヤマアリ亜科ヤマアリ属に属しています。クロヤマアリは似た種類が多く、タイトルにもある「ハヤシクロヤマアリFormica hayashi」や隠蔽種(姿はほとんど同じだけど、正確には異なる種類)がいます。

初心者の方には見分けが難しいかもしれませんが、飼育方法はほとんど変わらないので問題ないでしょう。(慣れると、生息環境や大きさ、ツヤなどで見分けることができます。隠蔽種は私もわかりません笑)

※ヤマクロヤマアリ等の高山性クロヤマアリについてはまた別の機会に

分布と生息環境

沖縄県を除く、日本全土に分布しています。国外だと韓国や中国にも生息しているようです。

日当たりの良い場所の石の下や土中などに巣を作るので、公園などに行けば簡単に見ることができます。

生態

カースト(階級)

クロヤマアリのコロニーは女王アリ、ワーカー、雄アリで構成されます。

女王アリ8~10mm
ワーカー4.5~6mm
雄アリ調査不足

基本的にコロニーに女王が1匹の単雌性です。関西では多雌、関東では単雌という情報もありますが本当かどうかは正直微妙なところです。

結婚飛行

クロヤマアリは新女王が新しい巣を作るために空中での交尾行動、いわゆる結婚飛行を行います。

結婚飛行時期はアリの種類によって異なり、クロヤマアリの場合は6月から7月にかけて行われます。早ければ5月にも見ることができるでしょう。

特に蒸し暑く晴れた日の正午過ぎに生息地にいくと、翅を落とした女王アリが地面を素早く歩いているのを観察することができます!

ハヤシクロヤマアリとの違い

先ほど、ハヤシクロヤマアリという似た種類がいることを紹介しましたが、一体どこで見分けるの?と思われたかもしれません。

そんな方のために大まかな違いを下の表にまとめました。

クロヤマアリハヤシクロヤマアリ
大きさ(ワーカー)4.5~6mm5.5~7mmで若干大きい
大きさ(女王)8~10mm10~12mm
見た目黒に近い灰色黒くてツヤっぽい
生息環境日当たりの良い場所薄暗い林縁部
女王基本的に単雌多雌
土中に垂直に伸びる石下でよくみられる

下に女王の比較写真を載せました。ぜひクロヤマかハヤシか当ててみてください。(大きさは合わせてあります。)

正解は左がハヤシクロヤマアリで、右がクロヤマアリです。

ハヤシの方が若干ツヤツヤしているのがお分かりでしょうか?それに比べてクロヤマアリは灰色っぽくマットな質感をしています。

正直慣れないと見分けづらいかと思いますが、このことを覚えておけば結構わかるようになるはずです。

(隠蔽種については私もよくわかってないので、後に調べたら記事にしようかなと思います。)

飼育方法

入手

入手ルートは3つあります。

  1. 新女王採集
  2. コロニー採集
  3. 購入

オススメは新女王の採集ですね。結婚飛行時期に生息地に行くと地面を歩いているので、簡単に捕まえることができます。

クロヤマアリのコロニー採集はオススメできません。クロヤマアリの巣は地面の硬い場所にあることが多く、掘るのが大変な上に巣の中心部はかなり深いところにあるので見つけるのが大変です。

一方、ハヤシクロヤマアリは林縁部の石の下で比較的容易に多雌コロニーを採集することができます。こちらに関してはオススメですね。(個人的な経験ですが、標高が高く涼しいところほど石下に女王がいる確率が高いです。)

忙しい方は購入しても良いと思います。結婚飛行時期になるとショップ等で販売されています。クロヤマアリは丈夫なので輸送のストレスで死んでしまうこともほとんどないでしょう。

私が入荷を確認したことがあるオススメのショップを上げておきます。

こちらのショップさんは梱包もとても丁寧なので、安心して購入することができます。入荷は恐らく結婚飛行時期後の夏〜秋ごろになると思います。

クロヤマアリは雑食性なのでなんでも食べますが、どちらかというと肉食よりの印象です。

肉餌を中心に用意できればとても良いですね。ただ砂糖水やメープルシロップなどの蜜餌でもある程度は飼育可能です。

週1くらいで与えれば十分ですが、早く成長させたい場合はさらに多く上げても良いと思います。その時は1日から2日くらいで食べ切れる量を与えましょう。餌を残してしまった場合、巣を汚す原因になってしまいます。

初心者の方は、上記のショップが出している水に溶かすタイプのパウダー系の餌を与えると安心です。下にオススメショップのリンクを貼っておきます。

どちらのショップも多くの方がリピートしているほど人気なのでどれを買っても良いと思います。

あり巣 in undergroundさんのプロテインパウダーは3種類ありますが、クロヤマアリに関してはお好みで良いと思います。レビューは下のアリメディアを運営されている方の記事が参考になります!

【ありの飼育記#147】あり巣さんところのタンパク質系のエサ試してみたよ

パウダーセットを買った方は全てあげてみて、一番食いつきが良かったものをメインに与えると良いでしょう。

ケース

湿度があればなんでも大丈夫です。環境適応力はピカイチですので、湿度が低い試験管や、高湿度の石膏巣でも飼育可能です。新女王であれば試験管に水とスポンジを入れたもので十分でしょう。

↑私がよく使うプラスチック製の試験管です。アリ飼育にちょうどいい太さ・長さなので大変使いやすく、試験管ラックもついていてコスパ最強です。50本セットなので少し多いかもしれませんが笑

とはいえ土中営巣性なので、できれば高湿度を保てる石膏巣を用意してあげるとなお良いと思います。

しっかりとした巣のオススメは以下のものです。

上記のものをお好みで使うと良いと思います。

ただ、アリの数に対して巣が大きすぎると汚れやすくなってしまうので、見た目が気になる方はちょうど良いサイズの巣を使いましょう。

アリが増えてきてケースが狭くなってきたら、大きなケースに移してください。

餌場が付属していない場合は上記のショップで一緒に購入するか、自作しましょう。ダ○ソーで売っているクリアケースに穴を開けるだけでも立派な餌場になります。

餌場の壁面にはベビーパウダーを塗布しましょう。クロヤマアリは垂直の壁を登れてしまいますが、ベビーパウダーを塗ると滑って登れなくなります。餌やり時の脱走防止に大変役立ちます。

維持方法

セッティングを終えたら?

巣を用意して、落ち着かせると数日以内に卵を産み始めます。始めは10個前後産むと産卵をストップして子育てに専念します。

1週間くらい経つと、幼虫が生まれます。その後、続々と孵化して2週間ほどかけて成長していきます。

この時、ワーカーが羽化するまで餌は必要ありません。(蜜餌なら多少与えても大丈夫ですが、ストレスになる可能性もあるのでオススメはしません。)女王は体内にため込んでいる栄養だけで幼虫を育てることができます!

成長しきると今度は蛹ですね。クロヤマアリは繭を作ってその中で蛹になる場合と、「裸蛹(らよう)」といって繭を作らずに蛹になる場合があります。なぜそうなるかは分かっていませんが、羽化には問題ありません。また、繭には一部黒くなる箇所がありますが、これは幼虫が蛹になる前に出したフンなのでこちらも心配不要です。

繭もしくは裸蛹を作ると1~2週間でワーカーが羽化してきます。待ちに待った瞬間ですね!

羽化したてのワーカーは色も薄く、いかにも生まれたてと言った雰囲気でとても愛着が湧きます。

最初のワーカーが生まれるまで産卵から1ヶ月ほどですので成長は結構はやい方ですね。

ワーカーが餌を探しに餌場に出てくるようになったら本格的に餌を与え始めてください。初期は上記した蜜餌やパウダー餌だけで大丈夫ですが、生の肉餌(コバエや蚊)があればベストです。

育て始めてしばらく経ったら?

一年目はうまくいくと40匹くらいまで増やすことができます。また、冬前になると産卵を止めて冬眠の準備に入ります。クロヤマアリは幼虫が冬眠前に成長し切るので、冬の間はワーカーと女王のみの状態になります。

冬眠時は餌は必要ありません。ただ室内が暖かく、餌場にワーカーが出てくるようなら蜜餌を与えても良いと思います。

この時に餌が必要ないからと言って、お世話を忘れて巣の乾燥で死んでしまう事故はよくあるのでこれだけは気をつけましょう。

いくらクロヤマアリでも、湿度が全く無い場所は流石に耐えられません😖

春に近づいて気温が高くなると、再び産卵を始めます。我が家では2月の後半くらいからですかね。冬を無事に越したコロニーは一気に増えてくれるので、みていて一番楽しい時期でもあります。 

ここまできたらあとはひたすら今までの通りに飼育するだけです!ワーカーが増えるにつれて、餌の必要量が多くなるのでそこだけ注意してくださいね。

上手くいくと、新女王や雄アリの誕生するような数千匹を超える大コロニーに育て上げられるでしょう!

最後に

日本産のアリでは1,2位を争うほど頑健な種類だと思います。成長スピードが比較的はやいのも魅力ですね!

早くたくさんのアリがわちゃわちゃしているところがみたい!という方には特にオススメです。

アリに興味をもったけど何から飼い始めれば良いのかわからないという方はクロヤマアリを育ててみてはいかがでしょうか?

では最後までご覧いただきありがとうございました!

参考

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