ANT KEEPING
基本的な飼育方法
女王アリやコロニーを迎えてから日々の世話まで、アリ飼育の基本的な流れをまとめています。
飼育の流れ
アリの飼育は、まず小さいケースで女王アリに育児をしてもらいます。働きアリが羽化して数が増えてきたら、専用の飼育ケースへ引っ越しさせるのが基本の流れです。その後はコロニーの規模に応じてケースを増設するか、さらに広いケースへ引っ越しさせます。
コロニーが小さい段階で広いケースに移すと、巣の中をゴミ捨て場にしてしまったりと、清潔に保てなくなる場合があります。コロニーの大きさに合わせたケースを使いましょう。
飼育の流れ

創設期
女王アリのみ
試験管などで

小コロニー
働きアリ1匹~10匹ほど
飼育ケースへ移動

成長期
働きアリ数に応じて
増設か引っ越し
創設期の管理
新しい巣を作り始めたばかりの女王アリにとって、一番のストレスは振動や光です。
一般的なアリ(クロオオアリ・ムネアカオオアリなど)は女王が体内に蓄えた栄養だけで育児を行います。
この間はエサやりも不要で、むしろ与えすぎるとストレスで卵を食べてしまうこともあります。
どうしても与えたい場合は、お迎えした直後の一度程度にしておきましょう。
創設期は、試験管での管理が最もお手軽です。
種類によって好む湿度は異なります。湿度の勾配(スポンジ側は高湿度、口側は低湿度)ができる試験管を使うと、アリが自分で居心地の良い場所を選んで育児できます。
試験管の準備は以下の通りです。
試験管の1/3ほどまで水を入れる。
濡らして水が垂れなくなるまで絞ったスポンジを奥まで押し込み、水と接触させる。*押し込みすぎると水があふれるので注意
試験管に女王アリを入れ、入口を脱脂綿で軽くふたをする。

試験管は、静かで温度が安定した場所に置き、遮光のためにアルミホイルや布で包むと女王が落ち着きます。
1日に何度も持ち上げてのぞくとストレスになり食卵の原因にもなるので、観察は最低限にとどめましょう。
アリの引っ越し
働きアリが10匹ほどに増え、試験管が手狭になってきたら、巣となる飼育ケースへ引っ越します。
方法は、「手動引っ越し」と「自然引っ越し」の2通りあります。
手動引っ越し
飼い主がアリを直接新しいケースへ移す方法です。
すぐに引っ越しが完了し、タイミングを自分でコントロールできるのが利点ですが、アリにとってはストレスがかかりやすい方法でもあります。環境悪化時や時間がない時などに行います。
コロニーの大きさに合った新しいケースと脱走防止粉を壁面に塗った餌場を用意する。
脱走防止粉を塗ったタッパーなどに、アリを一時的にいれる。
タッパーから、新しいケースに接続した餌場へアリをいれる。
*元のケースに卵や幼虫が残っていないか注意

自然引っ越し
元のケースと新たに用意したケースをチューブなどでつなぎ、アリが自分のタイミングで新しい巣へ移動するのを待つ方法です。
手動引っ越しよりも移動ストレスを抑えられますが、引っ越しには数日〜数週間かかることもあります。
新しいケース側を暗くしたり、元のケースに光を当てておくと誘導しやすくなります。
メンテナンス
アリの飼育で日常的に行うお世話は、大きく3つです。
①給餌
アリの種類やコロニー規模によって頻度は変わりますが、雑食性の場合、蜜餌を週2~3回、肉餌は週1回ほど与えます。
さらにコロニーの成長を早めたい場合は、1日で食べきれる量の肉餌を無くなり次第与えてください。
蜜餌はシリンジなどを使用して餌皿に入れておきます。
肉餌はピンセットを使い、締めてから与えましょう。
タネは種子食のアリには切らさないように常時与えます。ただし、タネと保湿材が直接触れるケース(石膏製のものなど)では一度に与えすぎると発芽してしまうため、注意が必要です。

②掃除
飼育をしていると、餌場にはアリが捨てたゴミや食べ残しが溜まるので、ピンセットなどでこまめに取り除き、カビ・ダニ・病気の発生を防ぎましょう。
カビはアリがもつ抗菌物質である程度防げますが、ダニは幼虫や卵に寄生して栄養を吸ってしまうことがあります。

③保湿
多くのアリにとって湿度は命綱です。
すべての飼育ケースは保湿のための水分が徐々に蒸発していき、次第に乾燥してしまいます。
完全に乾燥すると、アリは数日たたないうちに弱るか死んでしまいます。
保湿材(スポンジ・石膏など)への給水や、保水部への注水は忘れないように行ってください。
ケースによっては一週間に一度程度の給水が必要です。

温度・置き場所
日本で見られるアリ(国産種)の多くは過度な温度管理をしなくても飼育可能で、ほとんどの場合、25℃前後が適温となります。
ただし、室温が冬場の5℃を下回る場合や、真夏の30℃を上回る場合はエアコンや冷温庫などでの管理が必要です。
15℃~20℃でも生存には支障をきたしませんが、成長スピードや活動量は低下します。目安ですが、それ以下になってくると、冬眠する種類もでてくるかと思います。冬眠については下のセクションで解説しています。
暖かいところに生息しているアリ(国産・海外含む)については、冬場も温度管理を行ってください。温度管理をしていれば活動に大きな変化はないため、通常通り日々のメンテナンスを続けてください。
直射日光の当たる窓辺、エアコンの風が直接当たる場所、振動の多い場所は避けましょう。
冬眠について
国産種(一部海外種含む)は、秋の気温低下に伴って活動が低下し、次第に冬眠します。
飼育下でも、秋以降は産卵・幼虫の成長が停止し、働きアリの活動もゆるやかになることで、越冬状態に入ったとわかります。
※暖かいところに生息している種類など冬眠しないものもいます。
ただし自然下とは違い、室温では活動が完全に停止しないこともあります。餌場に働きアリが出てくるような場合は、週に1度程度は蜜餌を与えてください。
春になって暖かくなると、再び産卵・活動が再開します。
*温度管理次第で早まることもあります。
⚠ 注意冬眠期は餌の量や動きが少なくなるので、観察が少し退屈になりますが、保湿材への給水は忘れずに行ってください。冬場の乾燥で死なせてしまう事故はアリ飼育で多い失敗です。